漁師のヒトリゴト

 日記に「今日は陸仕事」だとか、「今日は沖仕事」等と書いてても、意味が分らん方も多いのではないかな?と。全国的に見るとどうなのか分んないんだけど、あくまでオイラの乗ってる小網の説明何ぞを一つ。

2003.12.1 Ver.


@漁
 その名の通り、漁に行く事です。
 早朝4時に漁港を出発。網にかかった魚を捕って戻ってくるのは大体6時。そのまま、氷見漁港まで運ぶこともあります。よほど海が荒れてない限り、ほぼ毎日この仕事はあります。

 ちなみに、これで終わる場合もあり。その時は、番屋(という小屋)で市場に行った人を待って、帰ってきたら皆でお神酒を頂いて終りになります。だいたい7時半〜8時くらいかな?。
 終わらない時は、下記の2種類の仕事を、各自自宅で朝ご飯を食べてきてから行います。7時半くらいから早ければ10時頃。遅ければ15時ころまで。大体はお昼頃に終わりますが。

A沖仕事
 沖に出て行う仕事のことです。

@入替:
 基本的に現在ついている網を外して、ついていた網を海の中に沈め、その後陸から持っていった網をつけるっていう内容になります。
 中網は、ほぼ毎月入替。2寸目は年3〜4回。年に2回(春・秋)、網の全入替(交換)があります。その時期は、網を外し、しばらく付けてないって事もあります。

A水切り:
 沈めてあった網を上げながら、勢いよく水をかけて洗う、って仕事です。基本的に、その網を陸仕事で修繕するわけ。

B石切り:
 網が流れていかないようにロープで錘をつけて止めてるのですがこーゆー事、その錘を沈める仕事です。台や矢引きだとかなりの量を沈めますが、普通のところだった約30個(ひとつ50kgくらいでしょうか?)沈めます。

C見と回り
 見て回るがなまったのだ、と思います(笑)。その名の通り、見て回ることです(笑)。台風の後など、何か異常がないかを調べて回るって事です。

B陸仕事
 陸、つまり漁港内の広場で行う仕事です。
 沖仕事がある時期は、必ず並行してあります。沖から水切りをして上げてきた網を、干したり(藻とか、貝とかいっぱいついてるんでそれを取る)、修繕したり。
 あと、ロープについた貝を落としたり、ブイをつけるロープの修繕をしたり、とさまざま。


流れなんぞ 地図(別ウィンドゥで開きます)

 まず、3時起床。

 3時半に、トラックに乗り込み、氷を積んだりして船を止めてる場所まで行き、カッパを着込み、伝馬船に乗り込みます。

 現在、自分より後輩君がいるので、その人が本船の準備をします。以下の通り。

 船を岸壁に近づけて縛り(子供とかがいたずらしないように、離して止めてあります)、船先を止めてあるロープを緩めます。んで、キャッチャーっていう、網を上げるときに使う装置をセットします(これは、頭、中間×2、艫(トモ:船の後ろ側)の4箇所あります)。 お次は氷室に入ってる、もしくは今積んだ氷を出して砕いて、タンクにセット。寒い時期は火床に盤木を入れ、火をつけます。

 本船には、船頭、副船頭、船長、機関長、水夫5名の11人。伝馬船には船長、水夫の2人。総勢11名で網を取りに行きます。

 4時ごろ、番屋からもたもたと船頭が出陣。乗り込むとほぼ同時に出港。

 本船と伝馬船はロープで繋いであり、網が近くなったら離して作業に取り掛かります。

 まず、本船は地図のAの網の横に陣取ります。伝馬船は離れた後、本船横(後ろ船側、と言います)につけて、船員2人は本船に乗り込みます。

 んで、AとBの境目くらいにあるタナワというロープをドラム(って言う装置)で上げていくと、網が上がってくるって寸法。

 そのタナワに繋がっている網をキャッチャー(なる機械)を使って端から上げていくと、自然に(ホントは台繰りというロープを巻くんだけど)矢印の方向に向かっていくわけです。

 んで、どんどん端(台、といいます)の方へ向かっていき、近づいてきたら、伝馬船は本船を離れて反対側に向かいます。

 んで、間に挟まれた網にかかってる魚をあげる。この所がよくTVとかで放送されてる場所になるわけだ。

 取れた魚は、氷の入ったタンクや、そのまま海水だけのタンクにあけます。船の地下室(あかまと言いいます)に移すこともあります(大漁時)。

 んで、Aの横に、モッタと言う網もあって、Aの中を回遊してる魚が入り込んだら絶対出れないって仕掛けの網もあります。基本的に、そこも上げたら移動。

 オイラの船は、こんな感じの網を2箇所取ってるんで、次のところを取りに行くわけ。

 んで、そこが終わったら、港に戻ってより分けて市場行きの車に積み込んで漁は終了。時間にして約2時間。

 この後、オイラ達はトラックに乗り込んで市場へ。市場についたら魚を下ろし、並べて競りにかかるのを待ち、競りを終えたら魚を入れていたタンクとかを集めてトラックに積み込み、やっと終了。沖仕事があるときは、そのまま市場内の食堂で朝食を取ります。トンカツ定食万歳。

 陸仕事の時は、各自いったん帰宅して朝食を取りに。終了の時は番屋で他の人たちは待機、オイラ達が戻ってきたら神酒なんぞを頂いて解散。


ま、こんな感じでしょうか。分かりにくい、とか、もし質問などありましたら、メール、掲示板等でご連絡ください。分かる範囲で善処します。

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